長身のグランツの陰に隠れるようにして言ったシエルだったが、彼女のいかにも『守られるべき少女』の姿は、団員たちの感情をますます煽った。

「俺、国じゃなくてシエルさんの騎士になる……」

「シエルさんのためなら、ずっと僻地勤務でもいい……」

 シエルは興奮したり感動したり忙しい彼らにどう反応すればいいかわからず、あきれた様子で自身の眉間を指で揉むグランツを見上げた。

 グランツは晴れて婚約者となったシエルの不安げな視線を受け、軽く片手を挙げてやかましい男たちを黙らせようとる。

「俺の婚約者を怯えさせるな」

 しかし男たちは、それを聞いてますます騒ぎ立てた。