グランツのもとで暮らすようになったシエルは、ついに彼が率いるカセル騎士団の面々に紹介されることとなった。

 西の国境を守る屈強な騎士団は、例の事件によってほとんどの団員を失っている。

 だからシエルも接点のない他人を恐れる気持ちより、彼らにどんな言葉をかければいいのかという思いで宿舎に案内されたのだが。

 騎士団の宿舎にある訓練用の広場にて、シエルは強面の男たちに囲まれていた。

「き、きれいだ……」

「可憐すぎる……」

「くそっ、どうして団長なんかと……!」

 円形にシエルを取り囲んだ男たちは、口々に賞賛と呪詛を吐いた。