「気持ちいいこと、しないで……」

 彼女を愛でていた手がぴたりと止まり、グランツが深呼吸する。

 急に刺激を与えられなくなったシエルが、おそるおそる顔を覆っていた手をどけると、なにかを堪えた様子のグランツと目が合った。

「自分がとんでもない獣になった気がするな……」

 幾分、冷静さを取り戻したグランツだったが、シエルを求める気持ちはまったく冷めていない。それどころか、ますます強くなるばかりで言葉を交わす時間さえ惜しかった。

 シエルは初めて見るグランツの表情に胸の高鳴りを覚え、彼の火照った頬にそっと手を滑らせる。

「どんなグランツ様も好きですよ……?」