「……ん」

 シエルが隠したい気持ちを引きずり出そうと、グランツは舌を絡めたキスで彼女の心を搔き乱す。

 武骨な手が誰にも触れられたことのない場所をかすめると、すっかり熱くなった肌がふるりと震えた。

 不思議とシエルはグランツの行為を恐ろしいと思わなかった。

 戸惑いはあるし、信じられないほど恥ずかしくもあるが、彼に応えたくて心と身体が反応するのを理解している。

 ひゅ、とシエルの喉が鳴った。

「き……」

「……き?」

 なにか言いかけたのを見て、グランツが静かに聞き返す。

 シエルは自由な手で自分の顔を必死に隠そうとしながら、衣擦れの音にまぎれるほど小さな声で告げた。