もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 昔のシエルなら、こんなふうにわがままを言わなかった。自分の気持ちを聞いてくれる人がいるから、安心してさらけ出せる。

 グランツはしばらく悩んだ後、寝室に続く扉を気まずそうに見た。

「君がベッドにいたら、さすがに理性を保つ自信がない」

「どうして保つ必要があるのです?」

 キスすらいまいちわかっていなかった彼女にその先の行為をどう説明すべきか、グランツが葛藤しているのは明らかだった。

「……まあ、もういいか」

 悩みに悩んだ末、グランツは考えを放棄した。