もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 こっそり魔法で見ていたシエルだが、彼が弟になにをどう語らっていたかは知らない。もしその現場を見ていたら、ラークと顔を合わせられなかった可能性がある。

「聖獣様を連れていらっしゃるんでしょ? 今日は来ていないの?」

「厩舎のそばに小屋を建てただろう。イルシャとミュンなら、そこにいる」

「今から見に行ってもいい!?」

「ああ。彼女たちの尻尾を引っ張ったり、毛を掴んだりしないと約束できるなら」

「約束する!」

 シエルは兄弟というよりも親子に近い二人を見つめ、また少し背筋を正した。