もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 初めてグランツの部屋に入ったシエルは目を輝かせ、辺りをうろうろと見始める。

「ずっと来たかったのです。ここがグランツ様のお部屋……」

「特に説明しなくても、なにがあるかは知っていそうだな。魔法で見ていたのだろう?」

「必要以上に私生活を覗き見していたわけではありませんよ。たまにです、たまに」

 それでもときどきグランツの顔を見たくて、水鏡に彼を映し出していたのは事実だ。

 気まずさから目をそらしたシエルのわかりやすい態度を、グランツは微笑ましく思った。

「少し待っていてくれるか。弟を紹介したい」

「わかりました。座っても構いませんか?」

 シエルがふかふかのソファを示す。