もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 二人が出会った頃のシエルは感情表現に乏しく、戸惑いや困惑でさえうっすらと顔に現れる程度だった。真っ赤になって照れたり、意地悪に怒ったりするような女性ではなかったのだ。

「あなたが私を変えたのです」

 シエルははっきり言うと、むっと唇を尖らせながら顔をしかめた。

「ちゃんと責任を取ってくださいね。グランツ様のせいなのですから」

 それが殺し文句だと気づかなかったのはシエルだけで、グランツは楽しそうに笑った。

「ああ、任せてくれ。出会った時から、俺の一生は君に捧げると決めていたんだ」

「剣はアルド殿下に捧げたのでは?」

「心は君のものだ」