もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 どうやらグランツは初めてのキスに勢いづいて、いつもの気遣いや遠慮を忘れたらしかった。

 シエルはグランツの肩に手を添え、次の口づけを阻止しようと必死になる。

「これまで一度も拒まなかったのに。キスをしたせいで嫌われるとは思わなかった」

「そういうわけではないのです。でも心の準備が必要ではありませんか? 少なくとも私は必要です!」

「おかしな話だな。俺はずいぶん前から、君にキスを提案してきたと思うんだが? 心の準備ができていないというなら、それは君が悪い」

 グランツの言葉はもっともだが、シエルの耳には入らない。