もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 シエルは耐え切れずに自分の顔を手で覆った。

 恋人の愛らしい姿を見たグランツは、いたずら心を発揮して彼女の耳に顔を寄せる。

「では、ほかの場所にするか。君がねだれるように」

「だめです!」

 シエルがいやいやと首を横に振って、グランツの腕から抜け出そうとした。しかし残念ながら、彼女の抵抗などグランツにとってないに等しい。

 グランツは子供っぽい仕草をするシエルを微笑ましく見つめ、彼女が逃げたがるのも構わず耳にも唇を触れさせた。

 その瞬間、シエルがぱっと顔を上げてグランツを軽く睨む。

「だめだと言いました!」

「君は怒った顔もかわいいな」