もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「また約束してくださいますよね?」

 そういえばあの時にした約束はまだ果たされていないかもしれない──とシエルが思った時、不意に抱き寄せられた。

 小柄な恋人を抱きしめたグランツが、はにかんで言う。

「死を覚悟した時、君にキスをしておけばよかったと悔やんだのを思い出した」

 グランツはシエルが答える前に彼女の唇をそっとついばんだ。

 二人にとってついにと呼べる念願のキスだったが、ゆっくりと噛み締める余裕はどちらにもない。

 シエルは真っ赤になってうつむくし、グランツも彼女の肩を掴んだまま固まってしまった。

「ほかの場所にされるのと、全然違うじゃないですか……」