もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「ありがとう。最高の手向けだ」

 美しい花を生み出し続けるシエルに、晴天を見上げたグランツが言う。

「……この光景を仲間たちと見たかったな」

 白い花で満ちた楽園を前に、悲しげな嗚咽が一層大きく響く。

 その中には聖女シエルの優しい奇跡に感謝する声もあった。

 周囲を魔法の花で覆ったシエルは、まぶしすぎる陽射しを受け止めきれずに目を細める。

(聖女と呼ばれても、喪った命を呼び戻すことはできない。私にできることなんて、本当に限られているのだわ)

 無力感に打ちひしがれたシエルを、グランツがそっと抱き寄せる。

 静かな午後はゆっくりと過ぎていった。