もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 裁判を終えた翌日、リンデンで国葬が行われた。

 嫌味なほど気持ちよく晴れた空の下で、白い無地の服に身を包んだ人々が嗚咽を殺している。

 その中にはグランツとシエルの姿もあった。

「ハルフェンシエルのもとでゆっくり休んでくれ。俺が行った時にはまた、馬の手入れについて語らおう」

 グランツは自らが率いるカセル騎士団の団員たちについて、顔や名前だけでなく趣味嗜好まで記憶している。

 沈痛な面持ちで手向けの言葉を贈る姿を、シエルは胸を痛めながら見守っていた。

(誰にも傷ついてほしくない、なんてきっと偽善なのだろうけど。それでも願わずにはいられない……)