シエルの目にみるみるうちに涙があふれた。グランツのぬくもりを確かめようと胸に顔を埋め、泣きじゃくる。

 あやされていたシエルだったが、やがて張り詰めていた糸が切れるようにふっと意識を失った。

グランツは優しくシエルを抱きしめ、血の気のない顔でアルドを振り返る。

「後を頼む」

 気力だけで意識を保っていたグランツが、とうとう崩れ落ちる。

 しかし彼は気を失ってなお、恋人を離そうとしなかった。