もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 愛する人を奪われた悲しみに支配されたシエルは、自身の魔力を留めようとしなかった。広場だけでなく辺りの家々も巻き込んで無造作に破壊する。

 アルドには彼女がなぜそこまで自分を抑えられなくなったのか痛いほどわかったが、避難した住民たちの目に映るのは街を滅ぼしかねない魔女の姿だった。

(誰か嘘だと言って。グランツ様は改めて求婚してくれるって言ったもの。キスしてくれるって約束したもの……)

 シエルの慟哭がさらに魔力を暴走させ、甚大な被害を生み出す。

「本当に魔女になるつもりなのか……!?」

 自分では止められないと悟ったアルドが、こぶしを握り締めながら言う。