もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 聖女の真実を明かすつもりなどなく、虎視眈々とシエルの命を狙い続けていたのだ。

 ラベーラがシエルを見つめたまま微笑み、可憐な唇を動かす。

『おまえを許さないわ』

(どうしてなの、ラベーラ様……)

 名ばかりの親友から醜い憎悪を向けられたシエルが咳き込む。

 薪を燃やす炎の勢いが増し、ラベーラの笑みも呼応して深まった。

『魔女は魔女らしく、惨めに死んで』

 人々の怨嗟の声が辺りに満ちた時、シエルの頬を涙が伝う。

「私は魔女ではありません。──グランツ様がそう言ってくださったから」

 その瞬間、ふっと周囲の音が消え去った。