もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 フードを目深にかぶった小柄な──女性だ。

(ラベーラ様……!?)

 長年耳にした甘く優しい声を、聞き間違えるはずがない。

 しかしシエルがラベーラの名を口にするよりも早く、いつの間にか彼女の足もとに詰まれた薪に火がつけられた。

「さあ、魔女を殺しましょう? リンデンの平和のために!」

 妙に響くラベーラの声は、人々の負の感情を煽り立てる。

 ふと、その顔がフードの奥からのぞいた。間違いなくシエルと目が合うと、ラベーラは歪んだ笑みを浮かべる。

(改心したのだと思ったのに……)

 彼女は最初からこのつもりだったのだろうと、シエルは気づいてしまった。