もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 シエルがどんなに無実を叫んでも、人々は誰ひとり耳を貸さず、彼女を激しく罵る。異様な光景は常軌を逸しているとしか言いようがなかった。

「やめて……!」

 声を枯らして叫ぶシエルに、次々と石が投げつけられる。

「あいつがリンデンに不幸を招きこんだんだよ!」

「あんたのせいで兄さんが戦場に向かわなきゃいけなくなったんだ!」

 心ない言葉は、石による傷よりもシエルの心を痛めつけた。

 その時、ぎゅっと固く目を閉じて痛みを耐えていたシエルの耳に、聞き覚えのある声が届く。

「魔女は火あぶりにしなきゃいけないわ」

 不思議と、シエルは集まった人々の中から声の主を見つけることができた。