もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 魔獣のミュンと行動を共にするわけにもいかず、街の外で別れてすぐ、シエルは門衛にケベク砦で起きていることを伝えた。

門衛は突然現れた妙な女を訝しんだようだったが、ただごとではない様子を見て、アルドに伝令を走らせてくれた。

 しかしシエルが呼吸を整える間もなく、どこからともなく聞こえた『魔女』という言葉が彼女を襲ったのだ。

 ワレスが攻め込んできた話は既に王都に広まっていたようで、極限まで達していた不安と怯えが一気にあふれ出したのだった。

 まるでひとつの生き物かのように意思を共にし、怒りと憎しみを増幅させた住民たちは、魔女と呼ばれたシエルを広場へ引きずり出し、茨で木の柱に磔にした。