もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 トーレイが引き連れた騎馬兵たちは、ほとんどがカセル騎士団の者ではなかった。リンデン王国の国章が刻まれた鎧は、王都を守る騎士のものだ。

 生き残っただけでも奇跡だというのに、援軍が到着するというもうひとつの奇跡が重なったらしい。

 彼らはグランツのもとへ近づこうとしたが、そのそばに立つ恐ろしい魔獣のを見て足を止めた。

 動揺を口にしながら槍を手に魔獣と向き合おうとするも、傷ついたグランツがかすれた声を張り上げる。

「魔獣じゃない。リンデンを守った聖獣だ。そうだろう、イルシャ」

 イルシャはグランツに向かって笑うように鼻を鳴らすと、こちらへ近づきつつある新たな敵軍に向かっていった。