もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 仲間たちは裏切られた絶望の中で死んでいったのだ──と、グランツの瞳が焼け付くような激情を宿す。

 イルシャが敵を殲滅し、勝利の咆哮をあげた時、オシュテルの首は胴体に別れを告げていた。

「オシュテル様がやられたぞ!」

「退(ひ)け! 退(ひ)けえっ!」

 まだ生き残っていた者たちが死に物狂いで逃げるのを、イルシャが追撃する。

 ひとまず危機を脱したグランツだったが、ついに身体が精神についていかなくなり、その場に膝をついた。

(まだ倒れるわけにはいかん)

剣を支えに立ち上がろうとするも、全身に力が入らない。

 すぐさまイルシャがグランツの腕の下に身体を入れ、立たせようとした。