もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

(誰かのために戦うとは、こういう気分なのか)

 これまでグランツはずっと、主君のため、国のため、そして自分の責務を果たすために戦ってきた。

 なにかを守りたい気持ちは義務から来るもので、それ以外の思いを抱いたことは一度もなかったというのに、今は違う。

(俺がシエルの居場所を守らねばならない)

 強大な魔法を扱おうと、魔獣を従えていようと、グランツの目に映るシエルはいつだってか弱く儚い少女だった。

 ゆえにグランツは瀕死の状態にあっても剣を握り、敵の前に立ちふさがる。

 文字通り命を燃やしたグランツの気迫に怖気づいているのか、敵はまだ動こうとしない