もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 この場に彼の味方がいれば、すぐに戦線を離脱させて休ませていただろう。敵と言葉を交わしている余裕などないひどい怪我だ。

 立っているだけでもやっとなはずなのに、グランツは地面を踏みしめて敵を威圧し続けていた。

(俺が生きている時間が長ければ長いほど、救われる者の数が増える)

 実際、オシュテルの兵はタスローに向けて敗走するカセル騎士団の団員たちよりも、その長であるグランツの首に執着した。

 戦において大将首を取ることの重要さを理解しているからである。

 だから、グランツは自身を囮に生き残った仲間を守ろうとした。仲間たちがワレス軍を止められば、大切な恋人も傷つかずに済む。