もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 なぜ突然、ミュンが成長したかを考える余裕はなかったが、ミュンもイルシャと同じくシエルの願いを叶えるため、手を貸そうとしているのはわかった。

「キルヒェへ向かって。道はたぶん、教えられるわ」

 シエルはミュンの背にのり、一度だけ行った場所を思い浮かべて魔法でミュンに伝達する。あわせてアルドの容姿も伝えた。

 グランツ以外の人間と接するのは、言葉を交わしたことのあるアルドであっても抵抗がある。しかし、彼がどういう状況にあるか知った今、のんびり待っていることはできなかった。

 ずっと受動的に生きてきたシエルが、初めて自分の意思で決断する。

(どうかご無事でいて)