もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 耳をふさぎたくなるような悲鳴や、同じ人間を斬り捨てて響く歓声。逃げようとした騎士の背を、後ろから矢の雨が襲った。

 魔法が飛び交い、辺りに火の手があがる。巨大な火球に巻き込まれた騎士たちを見て、シエルは思わず目をそらしてしまった。

 きゅう、とミュンが小さな鳴き声を漏らしてシエルの服の裾を引っ張る。

 シエルが再び水面に目を向けると、そこにはひどく疲れた表情のグランツがいた。

 ミディイルに騎乗し、近くにいた敵のひとりを長剣で屠る。

『まさかオシュテル男爵が寝返っていたとはな』