もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 砦には二千のリンデン軍、そしてタスローに控えるカセル騎士団はおよそ五千の軍勢だ。圧倒的な数の差は、騎士たちの士気を下げていた。

「なに、ケベクでの戦い方は俺たちが一番よく知っている。数で負けていようと、簡単にとられるはずがない」

 現在も戦闘が行われている砦には、王都に居を構えるオシュテル男爵の手勢が控えている。もとはグランツがカセル騎士団を率いて向かうはずが、その前に伝令が届いたのだ。

「最初からうちが戦闘に参加していればそうでしょうけどね。なんだって突然、オシュテル卿がしゃしゃり込んできたんです?」

「殿下のご命令に異を唱えるつもりか? 誰に聞かれるかわからんぞ」