もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

(あなたは私が追い出された時から、ずっとそばにいてくれた。だから離れたくない)

 グランツの妻として生活をするなら、魔獣の親子と一緒にいられなくなるだろう。

 たとえシエルが追い出された原因がイルシャだとしても、心の支えになってくれた二匹と別れたくなかった。

 だからシエルは、グランツが心を砕いてくれているのに、彼のもとへ行くための努力を積極的にすることができない。

(幸せになるなら、みんな一緒がいい……)

 グランツの想いを理解しているから、彼には言えない。

 イルシャはシエルの気持ちを察したらしく、喉を鳴らして彼女に顔を摺り寄せた。

「あなたの分もお茶を用意してあげるわね」