もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

(だからグランツ様のもとに行くのが怖い)

 人間が大勢生活しているタスローの街には騎士の関係者が多いと聞いたが、当然一般人もいる。

 領主のグランツが得体の知れない女だけでなく、魔獣の親子まで連れてきたと知ったら、彼らはグランツをどう思うだろうか。

(私への疑いが晴れても、あなたたちが魔獣であることに変わりはないのよね)

 シエルはグランツとミュンがたわむれる横で、近寄ってきたイルシャのたてがみに顔を埋めた。

 もふり、と温かな毛並みに包まれ、独特の獣臭さが鼻をつく。妙に香ばしく、癖になる獣臭さはシエルを安心させてくれた。