もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 骨ばった男性的な指が自分の唇をなぞるのを感じ、シエルの胸がとくりと音を立てる。

(ここへのキスは、また今度)

 彼に心を許し、懐き始めた頃のシエルと違い、今の彼女はかなり落ち着いた。なにかとグランツにくっつくことも、手や頬へのキスをされたがることもない。グランツが懇切丁寧に教えたおかげで、恥じらいを覚えたからだ。

 シエルから距離を詰めなくても、グランツから彼女に触れたり、抱きしめたりすることが増えたおかげもある。

 恋人になってから接触が増えたのを理解していたシエルは、妻になった時にどんな素敵な触れあいが待っているのだろうと、今から楽しみにしていた。