もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 二人は顔を寄せて、こつんと額を重ねた。

 キスをすべきところでもしないのは、グランツの気持ちの問題である。

「国境が落ち着いたら、改めて求婚しても構わないか?」

「もうお受けしたつもりでしたが……?」

「きちんと必要なものを用意したうえで、と思ったんだ。以前は勢いで言ってしまったし。ちゃんと区切りを用意したいというか、適当に済ませたくない。胸を張って君を……妻と呼ぶためにも」

 グランツがほんのり頬を染めながらはにかむ。シエルもつられて微笑した。

「それまで君へのキスは我慢しておく。止まらなくなりそうだから」

「いつかしてくださいますか?」

「ああ、約束する」