もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「君の生活に不自由がないよう、いろいろと用意しておかねば。今のうちに思いつくものがあったら、遠慮なく言ってくれ」

「ありがとうございます。グランツ様が来てくださるだけで十分です」

「君はいつもそう言ってくれるな。しばらく会えなくなるのが本当につらい」

 手を拭ったグランツが、水しぶきを飛ばしながら駆け回るミュンを従えてシエルのもとへやってくる。

 シエルはイルシャの毛づくろいをするのをやめ、当たり前のようにグランツの腕に飛び込んだ。

「どうかお気をつけて。グランツ様になにかあったら、また泣いてしまうと思います」

「なにがあっても君のために戻ってくる。泣き顔は見たくないからな」