見世物にされていたシエルを引き取り、親友と呼んで心の支えになったのは、まぎれもなくラベーラだからだ。

「ラベーラ様も幸せになれるのなら、それが一番だと思います」

 ラベーラは反応しなかったが、アルドは鼻を鳴らした。

「君の優しさは偽善的だな。ラベーラ王女の放った刺客や、これまでに奪われてきた命にも、彼女の幸せを願っていると言えるか?」

 グランツがなにか言いたげにするも、シエルはその前に返答する。

「私には正解がわかりません。だから、これから失われるものがなければいいと思ってしまいます。それに私も、ラベーラ様に少しも救われなかったわけではありませんから」