アルドは最初からラベーラを愛しておらず、夫婦になってからも愛をはぐくむつもりがない。彼女の嘘が暴かれなくても変わらなかったとはいえ、アルドのために名誉さえ捨てられるラベーラには残酷な結末だ。

「よし、後で契約書の作成をしよう。──グランツ、シエル。これでラベーラ王女の件は終わりにしたい。構わないか?」

 アルドに問われ、先にグランツが答える。

「殿下の判断に従います」

「シエル、君は?」

 シエルはアルドとグランツ、そして暗い表情のラベーラを見てうなずいた。

「構いません」

 ラベーラ自身がシエルを利用していたことを認めたが、シエルには彼女を憎みきれない。