もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 楽しそうな声とともに、アルドが姿を見せる。

「物騒な話が聞こえてきたのは気のせいじゃないな。──ラベーラ王女、どういうことだ?」

「アルド様……どうして」

 ここにアルドがやってくると思わなかったのか、ラベーラの顔から余裕が消える。

「婚約者殿の姿が見えないようだから、探しに来た」

 アルドの白々しい嘘を信じたのは、ラベーラだけだろう。

 シエルもグランツも、アルドがここへやってくるまで待っていたのだから。

 公爵位とはいえ一介の騎士と、名前すらなかった少女では、ラベーラに手が届かない。だが、彼女と同じ立場にある一国の王子が相手ならば話は変わってくる。