もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 その手が剣にかかっているのを見たラベーラは、口もとに手を当ててくすりと笑った。

「どうやって? 私にはなにもできないかもしれないけれど、おまえたちも私になにもできないのよ。真実を知ったところで、私がセニルースの王女であることに変わりはない。傷などつけたら、リンデンとセニルースの関係はどうなるでしょうね」

 シエルは咄嗟にグランツの服を掴んだ。

「剣を抜いてはいけません」

「わかっている。ああして俺を挑発しているのだろう」

 ラベーラの策略に乗るほど、グランツは短気ではなかった。