もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 アルドは自身の婚約者への理解が深かった。積極的にほかの女性と浮き名を流してはいるが、ラベーラについて知ろうという気はあったらしい。

「私は誰も殺しません。グランツ様でなくても、絶対に」

 それを言うだけでシエルの心は引き裂かれそうなほど痛んだが、ラベーラと決別しなければグランツを守れないとわかっていた。

「ラベーラ様のもとにも戻れません」

「じゃあ、死んで?」

 『そこにあるお菓子を取って』と言うのと変わらない軽い口調だった。

「シエルを死なせはしない」

 グランツが表情を引き締めて、ラベーラと対峙する。