もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです


「ラベーラ様、私は……」

「王女殿下は魔女についてご存じなのですか?」

 グランツはシエルの言葉を遮り、少しだけ語気に力を込める。

「そういえば、魔女に力を奪われたのだとおっしゃっていましたね。ですが貴女は今、彼女に帰ろうと声をかけた。どういう理由によるものでしょう」

「私に話しかけていいと誰が言ったの?」

 歌うような声は軽やかで甘いのに、底冷えする響きが宿っている。

「下がりなさい」

「できかねます」

 ラベーラがはっきりと不快感を表情に示す。

「そう……。アルド様の大切な騎士も、魔女に狂わされてしまったのね」