もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 恋人になってから、グランツは今までよりも少しだけシエルに遠慮しなくなった。ぎこちなさも消え、着実に恋人らしい距離感に慣れ始めている。

「人を癒やすだけで好きになるグランツ様が心配です。私以外はだめですよ」

 これだけは言っておきたいとシエルが釘を刺すと、グランツは意外そうに目を丸くした。

「君に嫉妬心があるとは思わなかった。そんな人間くさいことを言われたのは初めてだ」

「私はちゃんと人間ですよ?」

「俺の知るシエルは、もっと無感情で温度のない人だったからな。他人に慈悲を見せるくせに、自分にはとても冷たく見えた」

 シエルも自分の変化は薄々察していた。