もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 二人は見つめ合ってから、互いに頬を赤らめて同時に目をそらした。

「そういえば、パーティーに出たのは初めてか? セニルースにいた頃は、それどころではなかったのだろう?」

 短い沈黙を拒んだグランツが言う。

「そうですね。今までずっと、表に出たことがなかったので。パーティーとはこんなにも華やかな場所なのだと初めて知りました」

「君の年齢ならとっくに社交界に出ていただろうに。……そうなっていなくてよかったと思う俺を許してくれ。君の可憐さに気づく男は俺だけでいい」

 不意打ちの甘いささやきが、シエルの頬をほんのり色づかせる。