もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「ああ、完璧だった。たしかにあれを見せられたら、王女殿下を聖女だと信じてもおかしくない。幻想的で美しくて……君にふさわしい優しい魔法だった。それなのに今まで利用されてきたかと思うと悔しいな」

 シエルは自身の膝を強く握りしめたグランツの手に触れ、そっと首を横に振る。

「あれが救いになった人もいるでしょう。ラベーラ様がしたことだと思われていても構いません」

「だが、そのせいで君は魔女と呼ばれているんだぞ」

「グランツ様が私を信じてくださっているから十分です。それに、魔女でなければあなたにもお会いできませんでした」

「シエル……」

 そよそよと心地よい夜風が吹き抜ける。