もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 誇らしげにシエルの名を胸に抱いた彼女は、グランツが初めて出会った時よりも輝いて見えた。

「いい名だ。ハルフェンシエルから取ったんだろう? 魔獣の名がイルシャとミュンならほかにいない」

 グランツがアルドの質問を受けてうなずく。

(シエルはグランツ様の信じる女神様から、お名前をいただいたと聞いたけれど)

 もの問いたげなシエルの視線に気づき、グランツは微笑した。

「ハルフェンシエルは戦女神なんだ。戦場で死んだ騎士に名誉を与え、楽園へと導いてくれる。強く優しく、そしてとても美しいとされていて、傍らにイルシャベックとミュンティーツという剣と盾の女神を連れている」