もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 吐息が触れる距離でささやかれ、みるみるうちにシエルの顔が赤く染まった。

 グランツを好きだと自覚したせいか、彼のぬくもりも声も、なにもかも意識して体温が勝手に上がってしまう。

「も、もう泣きません」

 ゆるゆると恥じらいを感じ、シエルはまたひとつ学習した。

「とりあえず殿下を待たせているようだし、詳しく話を聞かせてもらえるか? どうして貴女がここにいるのか、なぜ……そんなに美しく装っているのか」

「私にもわからないのです」

 ソファに座るよう促され、シエルは不思議そうに顔を上げた。

 グランツが先に座ったのを見てから、安心してその隣に腰を落ち着かせる。