もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 悲しくなってうつむいたシエルだったが、なにも知らないメイドたちは容赦なく彼女を飾り立てていく。

 この神秘的な少女は王子の新しいお相手だと、誤解しているせいだ。

「瞳の色に合わせて耳飾(イヤリング)は水宝玉にしましょうよ」

「もう少し濃い色のほうがいいかも。瑠璃はどう?」

 しばらくして、装飾品までつけられたシエルは別室へと連れていかれた。

 待っているよう言われ、やわらかすぎるソファの上で縮こまっていると、ノックの音とほぼ同時に扉が開く。

「なるほど、これはあの堅物もおかしくなるわけだ」

 部屋に入ってくるなり言った男は、実にきらびやかな容姿をしていた。