もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 その単語を聞き、シエルはグランツの言葉を思い出す。

『私の主君は王女の婚約者なんだ。たしかに討伐を依頼したのは殿下だが、そうするよう相談を持ち掛けたのは王女だ』

 彼がシエルに、ラベーラに利用されていたと告げた時のことだ。

 まだラベーラを疑いきれない気持ちもあって、シエルの胸がずきずき痛む。

(あの時、グランツ様は『殿下』の話をしていたわ。じゃあ、このまま殿下にお会いすればグランツ様のことも聞ける? 聞いて大丈夫……?)

 グランツの身になにかが起きたから会えていないのだと、余計なことまで思い出してしまった。