もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 イルシャからも引き離され、ひたすら震えていたシエルだったが、なぜか今、城のメイドたちにせっせと身体を洗われている。

「い、嫌です。これ、目が痛いです……っ」

「石鹸で髪を洗う時は目を閉じるんですよ。そんなことも知らないなんて、いったいどこのお嬢さんなんです? ──ちょっと、薔薇の香油を持ってきてちょうだい!」

 恰幅のいい年配のメイドが、若いメイドに向かって手際よく指示を出す。

 シエルは身体を硬直させ、ひたすらされるがままになっていた。

(なぜ? どうして? なにが起きてるの?)