もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 光に透けた藁色の髪に目を奪われたせいで、シエルは自分を冷たく捉える若草色の瞳に気づくのが遅れた。

「ど……どちら様でしょう……」

 イルシャがシエルを背に庇い、低いうなり声をあげる。

 しかし男は怯まず、離れた位置に控えた馬上の一団を顎でしゃくった。

「殿下のご命令で、あんたを迎えに来た」



「まあ、こんな鳥の巣みたいな髪をして!」

 カセル騎士団のトーレイだと名乗った男は、シエルをリンデンの王都キルヒェに連れて行くと、大した説明もなく城の一室に置き去りにした。