もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです


 彼の声と表情が頭の中でよみがえっただけで、シエルの胸は強く痛んだ。

(私、グランツ様が好きなのだわ……)

 気づいたところで、伝えるべき人はここにいない。

 彼のリンデンでの役目を考えると、もしかしたら二度と会えないのかもしれない。国境を守ることがどれほど危険か、あまり多くを知らないシエルも理解している。

 だからシエルは、ラベーラのもとでやっていたように魔法でグランツの様子を見られない。自分の望んでいない恐ろしい現実を知りたくはなくて。

「ひとりにしないで……」