もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 刺客と対峙した時を思い浮かべているらしく、アルドが眉間にしわを寄せる。

「まるで、その薬さえ飲めば逃げられると思っているかのようだった」

「……魔法の類か?」

 シエルほどの力はないにしても、この世界に魔法使いは少なくない。

 日常生活を快適にする魔道具の製作や、騎士たちを後衛から援護する魔法軍が花形の職業とされていて、どんな街にも大抵一軒は魔法薬を扱う店があった。

 薬屋と違うのは、その名の通り魔法を込めた薬を扱っていることだ。

 身体能力を高めたり、敵の注意を引いたり、強い眠気を誘うものだったりと様々だが、その中には一時的に姿を消すような薬がある。