もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「他国の人間がかかわっているような言い方だな」

「事実だろう。お前は俺の騎士だ。それを知らない奴がリンデンにいるものか」

 グランツの口もとに微笑が浮かぶ。

 どうにも王子と思えない言動をする男だが、アルドが主君としてグランツに向ける信頼は本物だ。

「それにあの刺客は、死ぬ手段があるのにわざわざお前の名を残した。……いや、あの死も妙だと言えば妙だったな」

「妙?」

「奥歯に毒を仕込んでいたようなんだが、それを飲んだ時の反応がな。どうして自分が死ぬのかわからない、という顔だった。そいつだけじゃない、ほかの二人も同じだ。情報を隠すために刺客が自害した……とは違う気がする」