もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 アルドは牢獄暮らしよりもひどい生活を想像し、なんとも言えない嫌な顔をする。

「いつか戦いのない国を作ろうと、今思った」

「ありがたいな。ぜひそうしてくれ。──で、なにをしに来た? 俺をからかいに来たわけではないはずだ」

「まあ、そうだな」

 アルドがちらりと扉のほうをうかがう。牢番が立っているはずだが、気配は感じられない。

「不自由な思いをさせて悪かった。どうにも妙なことが多すぎてな」

 声をひそめたアルドが表情を引き締める。

「暗殺ぐらいならどうでもいいんだが、お前の名を出したことが気にかかる。リンデンの人間なら、お前だけは俺を裏切らないとわかっているはずだ」